S3E4 穢れなき軍団(And Now His Watch Is Ended)
ゲーム・オブ・スローンズ シーズン3 エピソード4『穢れなき軍団』について解説していきます。
前のエピソード
今回のタイトルは原題と邦題が全く違います。原題の And Now His Watch Is Ended(そして今、彼の見張りは終えられる) はナイツウォッチの葬儀で唱えられる言葉です。就任したら生涯やめることのできないナイツウォッチにおいて、見張りの終わりは死を意味します。個人的には今回は邦題のほうがふさわしいと感じます。
オープニング
今回登場するのは、キングズ・ランディング、ハレンホール、リヴァーラン、ウィンターフェル、壁、アスタポアです。
リヴァーランド
ボルトン家臣のロックに捕らえられたジェイミーとブライエニーは馬に乗せられ連行されています。右腕を切り落とされたジェイミーは意気消沈。馬に振り落とされ、水だと偽り馬の小便を飲ませられます。ジェイミーは隙を見て剣を奪い反撃しますがロックに制圧されます。
ヴァリス:オリジン
ティリオンはヴァリスの部屋を訪れ、ブラックウォーターの戦いでサーセイが自分の命を狙った証拠はあるのかと尋ねます。ヴァリスは証拠はない、あるのは噂だけと答えます。
S2E9 ブラックウォーターの戦いの前に、ヴァリスは自分が去勢されたときのことを言いかけましたが、その続きが語られます。
ヴァリスは少年のころ劇団と一緒にエッソス大陸の自由都市を巡っていました。ミアで彼は妖術師に売られ、性器を切り取られます。妖術師が青い炎に切り取ったものを放ると、炎の中から声がしたと言います。それ以来ヴァリスは魔法を憎んできました。
妖術師に死ねと追い出されたヴァリスは、物乞いをし、盗みを働き、やがて情報を売ることを覚えてのし上がっていきます。辛抱強く影響力を育てたヴァリスはついに復讐の機会を得るのでした。ヴァリスの強い意志を物語るエピソードです。
クラスターの砦
ホワイトウォーカーと接触してクラスターの砦に逃げ帰ってきたナイツウォッチは今日も土木作業。壁を越えて調査に出たものの、わかったのは化け物がいるということだけ。隊士の不満は募ります。
ジリと仲良くなりたいサムは話しかけますが、ジリは生まれたばかりの男の赤ん坊がいつ捧げ物にされるかと気が気ではありません。
ブランの夢の中
夢の中でブランはジョジェン・リードに三つ目の鴉を追うよう言われます。木を登って鴉に近づくブラン。するとキャトリンが現れ危ないから登るなと言われ、ブランは木から落ちてしまいます。
キングズ・ランディング
S2E10 バラー モーグリスで、ヴァリスはリトルフィンガーの元で働くロスを勧誘していました。近々王都を離れてアイリーへ向かうというリトルフィンガー。サンサを諦めたのだろうかと言うヴァリスに、ロスはアイリー行きの船の積み荷を書いた手紙を渡します。そこには高貴な人の使う羽毛のマットレスが2つ書かれていました。
ジョフリー、サーセイはマージェリー、オレナにベイラー大聖堂を案内しています。とにかく美術が素晴らしい。
マージェリーはもっと民衆に向き合うようジョフリーを説得します。大聖堂の扉を開け、民衆の歓声に手を挙げて答えるジョフリー。この2人、意外とうまくやっていけそう?しかしそれを見るサーセイの表情は険しい。
シオンたち
シオンを救い出した少年によると、ディープウッド・モット(深森の小丘城)で姉ヤーラが待っていると言います。下の地図で青丸がシオンが拷問を受けていたドレッドフォート城。黄丸がディープウッド・モット。確かに西の海に出れば鉄諸島に帰れるけど、遠くない?
ディープウッド・モットにたどりついたシオンは少年に胸の内を語ります。姉への嫉妬、ロブへの劣等感、父親に選択を迫られ誤ったこと。ウィンターフェルではブランとリコンを見つけられなかったため近くの農場の子供を焼き殺したことを白状する。スタークとグレイジョイの間で激しく揺れるシオン。このまま鉄諸島に帰ったら父親に何と言われるか…。
って、ここドレッドフォートやないかい!丸1日馬にのって出発地点に戻ってる!
ブライエニーたち
ブライエニーが夜に襲われることはなくなりましたが、ジェイミーは人生終わったような顔をしています。ブライエニーは右腕を失うなど小さな不運だ、大事なものを奪われる味を少し味わったに過ぎない、女みたいにわめくなと叱咤します。
ジェイミーがロックに言ったサファイアの話はでたらめでした。なぜ自分を助けたとブライエニーは訊ねますがジェイミーは答えません。
キングズ・ランディング
サーセイはタイウィンの元を訪れ、ジェイミーを全力で取り戻す気があるか確認します。ティリオンでさえ戦を起こしたのだから後継者のためなら何でもするとタイウィンは答えます。
それにしてもシーズン3に入って王の手に就任してからタイウィンはいつも手紙を書いていますね。一つ確実に言えるのは、タイウィンは大事な長男を人質に取られたまま無為に過ごす人間ではないということです。出す手紙の一通一通に、戦場での指令、あるいはそれ以上の戦略を込めているはずです。
2人の兄弟よりも父親の言うことを守り、ラニスターの遺産に貢献できるのは私だと思わないか?とサーセイはタイウィンに問います。タイウィンは、そう思うなら貢献しろ、と言うのみ。
サーセイはマージェリー・タイレルがジョフリーを上手く操れることを警戒し、タイレル家は問題だと進言します。
オレナ・タイレルの元をヴァリスが訪れます。今回のエピソードはヴァリス回と言ってよいほど彼の登場が多く、そういう意味で邦題の「穢れなき軍団」は去勢つながりで彼を示唆していて上手いと思いました。
S1E8 的は刃のようにでネッドに語ったように、ヴァリスは国家の安定のために動いています。サンサは北部にとってロブの次に重要な人間になっています。リトルフィンガーは既にハレンホールの城主で、この後アイリーも味方につけるでしょう。さらにサンサを得て北部への影響力を手に入れたら本格的に鉄の玉座を狙って動き始めるかもしれません。それを阻止するためにヴァリスは動いています。
オレナもただものではありません。孫娘のマージェリーはサンサに接近し、良好な友人関係を築きます。サンサとロラスの結婚は、誰でも思いつく円満な解決策です。
クラスターの砦
厳しい冬が迫る中、クラスターの砦にはナイツウォッチを養う食糧はありません。食糧はクラスターの娘たちに優先して回され、ナイツウォッチからは餓死者が出る始末。
元殺し屋の隊士カール・タナーがクラスターに対して食糧を要求します。もみあいになるとカールはクラスターを刺し殺します。ジオー総帥は剣を抜いて制止しますが背後から刺されて命を落とします。あたりはナイツウォッチ同士の混戦となります。
サムは混乱に乗じてジリと一緒に砦から脱出します。
リヴァーランド
状況を地図で整理しましょう。キャトリンに逃がされたジェイミーとブライエニーは、青丸のリヴァーランを出発し、王都に向かうためレッドフォーク川を下り、途中の橋でボルトン兵に見つかり連行されています。向かうはルース・ボルトンが駐留する緑丸のハレンホールです。(赤矢印)
一方、ハレンホールを出発したアリア達は兄と母のいるリヴァーランを目指し北上します。黄丸の宿屋で旗印なき兄弟団とハウンドに遭遇し、兄弟団に連れられて森の中を進み、赤丸のホローヒルにある兄弟団のアジトにやってきました。(青矢印)
旗印なき兄弟団のリーダー、ベリック・ドンダリオンは実はシーズン1に登場しています。S1E6 金の王冠でリヴァーランドを荒らすマウンテンを逮捕するためにネッドが派遣したのがベリックで、バラシオン家の騎士です。
ベリックはマウンテンと戦った後、光の王の天啓を受けて暴力から民衆を守る兄弟団を組織します。
ハウンドを裁きにかけようとする兄弟団に、ハウンドはそれは兄のやったことで俺の罪じゃないと言います。しかしアリアがハウンドはマイカー(S1E2 キングズロードでジョフリーに狼をけしかけた罪で処刑)を殺したと告発します。ベリックはハウンドに決闘裁判を宣告します。
アスタポア
デナーリスはアンサリード(穢れなき軍団)8000人と交換するため、ドラゴンを1匹渡し、代わりに奴隷の所有権を表すムチをクラズニス親方から受け取ります。
ムチを受け取ったデナーリスはヴァリリア語でアンサリードに命令します。ターガリエン家は古代ヴァリリアの血を引く一族、ヴァリリア語は通訳なしで話せます。これまでの親方の暴言も筒抜けでしたね。
デナーリスが命じると、アンサリードは親方たちを殺し、ドラゴンはクラズニスを焼き尽くします。
デナーリスはアンサリードを奴隷の立場から解放し、去りたいものは去ってよいと言います。アンサリードは去らず、槍で地面を打って自分の意思でデナーリスのために戦うことを示します。こうして何も失うことなく8000人の兵を手に入れたのでした。
以上、シーズン3 エピソード4でした。
今回も盛りだくさんの内容でしたが、最後で全部持っていかれた感じです。デナーリス姐さんかっこよ!!
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